
前に一度だけシメを撮ったことがありましたが、そのときはうまく撮れないまま、すぐに逃げられてしまいました。今回はそれとは少し違って、地面を歩くシメを何枚も撮ることができました。
見つけた場所も、前にシメを見た場所からそれほど離れていません。同じあたりで続けて見かけるので、あの一帯が餌を探しやすい場所なのかもしれないと思いました。
今回は、自分が木に隠れるようにしてしゃがみ、なるべく目立たないようにしていたのがよかったようです。シメのほうも、こちらをほとんど気にせず地面の餌探しに意識が向いているように見えました。そうやって、気づかれないように少しずつ距離を詰めていく感じには、ただ鳥を眺めるのとは少し違う緊張感があって、その面白さもあるなと思いました。

こちらを向くシメ
前より少し、シメという鳥の顔が見えてきた
今回よかったのは、前回のような「一枚だけ撮れた記録」では終わらなかったことでした。歩いているところ、止まっているところ、こちらをうかがうような顔つき、何かをくわえている瞬間まで、何枚か見比べられる程度には撮れました。
シメはやはり嘴が印象的です。太くて、少し重たそうにも見えるあの嘴があるだけで、スズメやシジュウカラとは顔つきがまるで違って見えます。シメは種子食の鳥で、硬い種子を割れるほど強い嘴を持っています。写真で見返すと、その違いがさらによく分かりました。噛む力は30キログラム以上もあるそうです。そのぐらいの握力の人がペンチで潰す感じだと思うとなかなかですよね。図鑑や解説ではそう書かれていても、見ただけではなかなか実感しにくいのですが、今回の写真を見返していると、たしかにこの鳥の嘴は普通の小鳥とはかなり違っているなと感じられます。そういう特殊性があって、シメは出会えて「お、やったぁ」と特別感を感じます。
地面の鳥は、近くても簡単ではなかった
ただ、今回は距離そのものは前より近かったものの、その代わりに草が邪魔でした。顔の前に少し草が入るだけで、写真の印象がかなり変わります。近づければそれで終わりではなく、今度は前景が抜ける位置を探さないといけないのだと分かりました。リアルな感じはしますし、味といえば味なのかもしれませんし、ピントも今回はうまく合わせられたかなとは思います。

木の枝の鳥なら枝が問題になりますが、地面の鳥では低い草が課題になりますね。しかも地面の鳥は、こちらも低い姿勢になって撮るので、余計に草がかぶりやすい感じがしました。鳥に近づくにはしゃがむというのが基本かなと思うのですが、しゃがめば草が写ってしまうという苦労がありました。今回は木の影に立って隠れて上からのアングルで撮ることも試していましたので、周りの人から見たら変な人に見えたかもしれません。

毛羽や羽の感じを残したくて、設定をかなり気にしていた

毛並みも移すことができた
今回は、ただシメが写ればよいというより、嘴や顔つきに加えて、羽の毛羽立ちや細かい質感まで少しでも残したいと思って撮っていました。そのために、できるだけシャッタースピードを上げて、手ぶれや被写体ぶれを減らしたいと意識していました。

何かを咥えているところが撮れた。すこしざらついた。
ただ、そこがかなり難しかったです。シャッタースピードを上げると、光を取り込む時間が短くなるので写真が暗くなります。だからといって ISO を上げすぎると、今度はざらついた感じが強くなります。逆にざらつきを嫌って ISO を抑えると、今度は暗くなって羽の感じが出なくなります。F値も含めて、そのちょうどよいところを探りながら撮っていました。

暗いながらも臨場感は出たと思う
しかも今回シメを撮っていた場所は、林の中の少し薄暗いところでした。明るい場所で撮るのとは違って、もともとの光が足りないので、その加減がさらに難しかったです。かなり練習になったのは、この部分だったと思います。今回は以下の写真のように毛羽までしっかり残る写真をこの環境で、カメラの設定を工夫することでちゃんと撮ることができたのが成功体験となりました。

何かの実を食べているところ

何かの実を食べているところ

古い Olympus E-PL3 でも、近づけるとここまで見える
今回の写真を見ていて改めて思ったのは、距離が詰まると、古い Olympus E-PL3 でもかなりいろいろなものが残るということです。もちろん、最新の機材ならもっと余裕があるのだと思いますが、今回のようにシメの嘴や目元、喉元の黒い模様、羽の重なりまである程度見えてくると、少なくとも「古いマイクロフォーサーズ機でも、近所の鳥を観察しながら撮ることは十分にできる」と感じます。
ただ、今回の経験では、機材だけで決まるわけでもないことがよく分かりました。シャッタースピードを上げれば暗くなるし、ISO を上げればざらつく。しかも草がかぶる。つまり、古いカメラだから無理、最新機材なら全部解決、という話ではなく、その場で何を優先するかを考えながら撮ること自体が大事なのだと思いました。今後本格的に野鳥撮影を始める前に手持ちのカメラでここまでできるところに辿り着けたのは収穫でした。この経験をしてから高いカメラを買えばいいかな、と思えました。

帰りに出会ったスズメも可愛かったです。何か咥えていました。